2026年8月1日、熊本県阿蘇郡南小国町・黒川温泉街にあるAu Kurokawa内に、新たなレストラン「KAZANE(カザネ)」がオープンしました。KAZANEは、黒川温泉の新たな商業施設「Au Kurokawa」の一店舗として、東京・表参道のフレンチレストラン「LATURE(ラチュレ)」がプロデュース。CHEFMEE所属シェフであるLATUREオーナーシェフの室田拓人氏と、同店で約4年半研鑽を積んだ中井みな美氏が、阿蘇・九州地域の食材や自然の魅力に惹かれたことから、この場所での挑戦が実現しました。LATUREの哲学を受け継ぎながら、温泉の地熱を用いて野菜や魚介をじっくりと調理し、薪窯でジビエを仕上げる「黒川ガストロノミー」をつくることを目指しています。食事を外に出すのではなく、食べる場所からつくる。黒川温泉の「泊食分離」全国の旅館・温泉地で「泊食分離」という考え方が広がっています。一般的には、旅館の夕食提供をやめたり減らしたりして、宿泊者を地域内の既存飲食店へ案内する方法です。しかし、この方法には一つ大きな前提があります。「そもそも地域に、宿泊者を受け入れられる飲食店があること」です。黒川温泉では、その前提自体がありませんでした。旅館が集まる温泉地である一方、宿泊者の夕食を受け入れられる飲食店の数は限られており、既存店へお客様を流すだけでは泊食分離は成立しません。さらに、黒川温泉の旅館を訪れるお客様が期待する食体験を考えれば、単に「食べる場所があればよい」という話でもありません。そこで黒川温泉が選んだのは、「飲食店がないなら、泊食分離を成立させるための食の受け皿そのものをつくる」という方法でした。黒川温泉の中心から徒歩約8分、約3,000坪の敷地に8棟の飲食施設「Au Kurokawa」を整備。まず建物と環境を用意し、そこへ黒川温泉の考え方に共感する料理人や飲食事業者を呼び込み、地域全体の「食のハブ」をつくりあげたのです。 地域の「食のハブ」を目指してAu Kurokawaは、単なる飲食店の集合ではなく、地域の「食のハブ」として、地元の人、生産者、料理人、旅館スタッフ、訪れる人たちが食を通じて出会う場を目指しています。その背景には、黒川温泉が長年大切にしてきた「黒川温泉一旅館」という考え方があります。30軒の旅館と温泉街全体をひとつの旅館に見立て、地域全体で支え合いながら価値を高めていく。その考え方を、食の領域にも広げていく取り組みです。また、黒川温泉では地域資源を活用し、食・人・環境の循環を生み出す「地産地循」の取り組みも進められています。Au Kurokawaもその考え方に沿って、黒川温泉郷から半径50km圏内を中心とした地域食材を活用しています。 黒川の自然を食す「黒川ガストロノミー」KAZANEの料理を担うのは、東京・表参道のフレンチレストラン「LATURE」で約4年半、ジビエ料理を中心に経験を積んだ中井みな美氏。KAZANEが掲げるのは、「黒川ガストロノミー」。温泉の地熱で魚や野菜を調理し、薪窯でジビエを仕上げ、立岩水源の湧水を料理に使用するなど、黒川の自然エネルギーそのものを調理の手段として取り入れています。食材も、黒川温泉から半径50km圏内の生産者との直接取引を中心に、シェフ自ら足を運んで厳選した鹿肉をはじめとするジビエや、阿蘇・九州の地域食材をコースに使用。土地の自然、食材、そして料理人の技術を掛け合わせることで、ここでしか味わえない食の体験をつくり出しています。料理人の力を、地域の新しい価値へCHEFMEEでは、所属する一流料理人の技術・経験・発想を、レストランの枠を越えて、ホテル・旅館・観光施設や地域の新たな価値創出につなげる活動を支援しています。今回のKAZANEでは、LATUREで培われた料理人の技術と、黒川の自然や地域食材が掛け合わさり、その土地ならではの食の体験が生まれました。料理人が地域に入り、その土地の素材や文化と向き合うことで、料理そのものだけでなく、地域の食や滞在の価値を高める可能性があります。CHEFMEEはこれからも、料理人の専門性を起点とした地域・産業とのつながりを生み出し、料理人の新たな活躍の場と、食を通じた価値創出を支援してまいります。